大阪地方裁判所 昭和42年(ワ)5029号 判決
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〔判決理由〕二、次に、<証拠>を総合すれば、近畿相互銀行は、大阪市東区本町二丁目三九番地の一所在の同銀行本店建物の敷地を拡張するため、かねてから、被告所有の本件土地及び建物の買受方を計画していたこと、しかして同銀行の子会社である平和商事は、同会社において、本件土地及び建物を買い受けることとし、昭和三九年二月頃、原告に対し、右買受方の仲介を依頼したこと、そこで、原告は、その頃から、被告に対し、本件土地及び建物を平和商事に売却することを交渉し、売買代金、その支払方法等についても、協議し、被告と平和商事とを互に紹介したことが認められ、他に右認定をくつがえすに足りる証拠はない。右認定の事実によれば、平和商事は、原告に対し、本件土地及び建物についての買受方の仲介を委託する旨の契約を締結したものと解するのが相当である。
ところで、原告は、被告が原告に対し、本件土地及び建物についての売却方の仲介を委託する旨の契約を締結した旨主張するが、これにそう<証拠>は、後記証拠に対比して、たやすく信用できず、他にこれを認めるに足りる証拠はなく、かえつて、<証拠>によれば、被告は、原告との間で、右委託契約を締結した事実のないことが認められる。したがつて、原告の右主張は、理由がない。
<中略>
四、以上の事実によれば、本件土地及び建物についての売買契約は、原告の仲介により、成立したものと認定するのが相当である。しかして、宅地建物取引業者は、商事仲立人ではないが、仲介業務の特質から、商法第五五〇条第二項の規定を類推適用して、当事者一方のみから、仲介の委託を受けた場合でも、各当事者に対し、相当の報酬を請求することができるものと解するのが相当である。けだし、仲介による利益を享受する者は、その性質上、委託をした当事者のみに限らないからである。したがつて、原告は、宅地建物取引業者として、右仲介について、委託をしていない相手方である被告に対しても、右仲介の結果について、報酬を請求することができるものと解するのが相当である。
もつとも、<証拠>によれば、被告は、本件売買契約について、原告を平和平事の代理人と考えていたことが認められるけれども、すでに判示したとおり、被告もまた、原告を通じて、右売買代金、その支払方法等の交渉をした以上、右仲介の結果について、報酬を支払うべき被告の義務に何らの消長を来たすものではない。(佐藤栄一)